
| 未成年の子2人を引取って離婚したいと考えております。 しかし,夫は父親である自分を親権者にしないならば養育費は支払わないと言っております。 親権者でない父親には養育費支払いの義務はないのでしょうか。 |
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| 回答 親権者でない親にも養育費の負担及び支払いの義務はあります。 詳しい解説 1 養育費の支払い義務は,親子関係その者から生じる義務 養育費は未成熟子の生活費であり,その費用の負担及び支払義務は親権の有無や子と同居しているか否かに関わりなく,親子関係の存在そのものに基づく扶養義務であると解されております。 民法は820条において「親権を行う者は子を監護及び教育する権利を有し義務を負う」と規定しています。 この規定は単に親権者の権利義務を規定したものであり,この規定によって親権者でない親(非親権者)の子に対する扶養義務が免除されるわけではありません。 母親から親権者でない父親に子の養育費を請求した事案で請求された父親が「養育費は親権者になった親が第一義的に負担すべきである。」と抗弁した事例があります。 しかし,裁判所は「親権者の監護養育の権利義務とそれに必要な費用(養育費)の負担は別個の問題であり,未成熟子に対する親の生活保持義務は,親子関係そのものから生じるものであるから,離婚後においても両親は,親権の有無に拘らず,それぞれの資力に応じて子の養育費を負担すべき義務を負うものと言わなければならない。」として父親の抗告(不服申立)を棄却しています(福岡高決昭52.12.20,家月30巻9号75頁,同旨福岡高決昭47.12.10判時666号60頁)。 2 未成熟子 養育費の対象となる子は,「>未成熟子」です。これは,民法上の行為能力の有無を基準とする「未成年者」(20歳)という概念とは区別された概念です。 つまり,未成熟子=未成年者 ではないということです。 未成熟子とは,「身体的,精神的,経済的に成熟化の過程にあるため就労が期待できず,第三者による扶養を受ける必要がある子。」とされています。 このことは親の具体的な扶養義務との関係で重要な意味を持ちます。 3 扶養を受ける子の年齢 具体的に何歳までの子どもの養育費を払わなくてはいけないのか。 民法は扶養を受ける子の年齢について規定しておりません。そこで,,家庭裁判所の実務では個々のケースにおける親の資力や学歴等家庭環境を考慮して18歳(高校卒業時)までとか成年(20歳)に達するまでとか決めています。 原則は20歳で,18歳とする場合は,この年になれば就労がなされることが明かと判断された場合です。 ところで,最近は高校を卒業後,短大や専門学校,さらには4年制の大学に進学を希望する子の割合も高くなっており,これらの子の扶養請求に対しても親は扶養義務を負担するのかが,重要な関心事となります。 前に,学費,授業料は養育費の項目にはいるとしましたが,養育費支払い終期について例えば4年生大学卒までということになれば,22歳まで養育費が給付されるということになります。 親の扶養を受けることのできる子を未成年に限定することなく,「未成熟子」という概念でとらえるとき,子が成年に達していても大学在学中あるいは大学進学を強く希望している子の親が,その資力,学歴,社会的地位等から通常,高校卒業以上の高等教育を受ける家庭環境であると判断される場合には,親に具体的な扶養義務(教育費等の負担)を負担させることができると考えられます。 裁判例は,父親が医師である場合(大阪高裁平成2年8月7日判決,福岡高裁昭和47年2月10日決定),父が小学校教員である場合(東京家庭裁判所昭和50年7月15日審判)等でいずれも大学卒業時までの扶養料の支払義務を認めています。 これらの判例は未成熟子の扶養の本質を所謂生活保持義務として,扶養義務者である親が扶養権利者である子について自己のそれと同一の生活を保持すべき義務を負うという考えに基づくものです。 ただし,未成熟子に対する親の扶養義務が所謂生活保持義務であるといっても,具体的扶養義務の負担は親に少なくとも生活保護基準に基づく最低生活費を賄って,なお,経済的余力がある場合に限定されます。民法上の扶養義務は扶養義務者に扶養能力のあることが大前提だからです。 |
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